生クリームやホイップクリームなどと呼ばれているクリームは、一般的には次の4種類に分けられます。
- 生クリーム
- 生クリーム+添加物
- 植物性クリーム
- コンパウンドクリーム
本記事では、これらのクリームの一般的な特徴(メリットやデメリット)について解説します。クリームを選ぶ際の参考になればと思います。
生クリーム
生クリームは、
- 生乳(動物性脂肪)のみで作られた
- 乳脂肪分18%以上
- 添加物なし
のクリームのことを指します。
パッケージの「種類別」には、『クリーム』と書かれています。
生クリームは、生乳(せいにゅう)に含まれる乳脂肪分を遠心分離で取り出して濃縮して作られ、パッケージには大きく『純生クリーム』などと書かれていることがあります。
※ 以下、本記事では、この項目で説明したクリーム(種類別:クリーム)のことを「生クリーム」と表記します。
生クリームのメリット
生クリームには、以下のようなメリットがあります。
- 添加物なし
- 濃厚なミルクの風味がある
- コクがある
- 泡立てにかかる時間が短い など
今回紹介する4種類のクリームの内、添加物が入っていないクリームはこの「生クリーム」だけなので、添加物が気になる方に特にオススメです。
生クリームのデメリット
生クリームには、以下のようなデメリットもあります。
- 高価
- 分離しやすい
- 少し黄色がかった白色 など
生クリームは泡立つのが早くて温度に敏感なため、分離しやすくボソボソの状態になりやすいです。
また、生クリームは白色ですが少し黄色がかっており、真っ白に仕上げたい場合は後述の植物性脂肪を含むクリームの方がオススメです。
表示や名称
パッケージの「種類別」に『クリーム』と表示できるのは、植物性脂肪(植物油脂)や添加物が加えられていない、上述の「生クリーム」だけです。
後述する残りの3種類のクリームは全て、パッケージの「名称」に『乳等を主要原料とする食品』と記載され、生クリームと区別されています。
乳脂肪分
乳脂肪とは、牛乳に含まれている脂肪のことです。
上述のとおり生クリームの乳脂肪分は18%以上と定められていますが、乳脂肪分が35%以上ないと泡立てるのが難しいので、乳脂肪分35%や47%などのホイップ用の生クリームが市販されています。
メーカーや泡立て方などにもよりますが、一般的に、乳脂肪分の割合が多くなるほど以下のような特徴のクリームになります。
- ミルクの風味が強くなる
- コクが強くなる
- しっかりと形を作ることができる
- 泡立てる時間が短くなる
- 分離しやすくなる
- 値段が高くなる
ミルクの風味やコクが強くない方が合う料理もあるので、乳脂肪分の割合が多くて高価になるほど良いクリームだとは限りません。
目的に合わせて適切な割合のものを選ぶと良いでしょう。
生クリーム+添加物
上述の「生クリーム」に乳化剤や安定剤などの添加物を入れて、分離しにくくしたり、保形性を良くしたりしたクリームです。
生乳が主な成分で、脂肪分としては「乳脂肪」のみが使われているので、風味は生クリームと変わりないと言われています。
パッケージには『純乳脂肪』と書かれていることがありますが、生クリームも純乳脂肪なので、間違えないように注意しましょう。
「生クリーム+添加物」のメリット
「生クリーム+添加物」は、生クリームと比較して、一般的に以下のようなメリットがあります。
- やや安価
- やや分離しにくい など
「生クリーム+添加物」の方が、「生クリーム」よりも、安くて泡立てに失敗しにくいと言われています。
「生クリーム+添加物」のデメリット
一方、「生クリーム+添加物」には、以下のようなデメリットがあります。
- 後述の植物性脂肪を含むクリームと比較すると分離しやすい
- 添加物が入っている など
植物性脂肪を含むクリーム(ホイップ)
上述の2種類のクリームは、脂肪分としては「乳脂肪」(動物性脂肪)のみが使われていました。
しかしパーム油・コーン油などの植物油脂(植物性脂肪)に乳化剤などの添加物を加えて作る、植物性脂肪を含むクリームもあります。
動物性脂肪の乳脂肪のみで作られた無添加の「生クリーム」と区別するため、植物性脂肪と添加物を含むクリームは「ホイップクリーム」と呼ばれたり、パッケージに「ホイップ」と書かれたりすることがあります。
※ ただし、ホイップ(whip)には「泡立たせる」「泡立てたもの」という意味があり、生クリームを泡立てたものも「ホイップクリーム」などと呼ばれます(とても紛らわしい!)。
植物性クリーム
乳脂肪を全く含まず、脂肪分としては植物性脂肪のみが使われた、植物性のクリームです。
植物性クリームには乳化剤、安定剤、香料などの添加物が入っており、分離しにくく、泡立てすぎても固くなりにくいという特徴があります。泡立てに失敗したくない人にオススメです。
しかし反面、泡立ててもすぐに固くならないので、泡立てに時間がかかるというデメリットもあります。
植物性クリームのメリット
植物性クリームには、以下のようなメリットがあります。
- ムースなどに向くあっさりとした風味
- ふわっと軽い口あたり
- 安価
- きれいな白色に仕上がる
- 分離しにくい など
植物性クリームのデメリット
植物性クリームには、以下のようなデメリットもあります。
- ミルクの風味やコクが劣る
- 泡立てに時間がかかる
- 添加物を含む など
コンパウンドクリーム
「動物性脂肪(乳脂肪)」と「植物性脂肪」の2つの脂肪が混合(コンパウンド)したクリームです。
成分的には「生クリーム+添加物+植物性クリーム」のようなもので、今まで紹介したクリームの特徴を、良い点・悪い点含めて混ぜ合わせたようなクリームです。
まとめ
今回は、以下の4種類のクリームの特徴について解説しました。
- 生クリーム
- 生クリーム+添加物
- 植物性クリーム
- コンパウンドクリーム
それぞれのクリームの脂肪分と添加物の有無をまとめると、下表のようになります。
クリームの種類 | 脂肪分 | 添加物 |
生クリーム | 乳脂肪(動物性脂肪) | なし |
生クリーム+添加物 | 乳脂肪(動物性脂肪) | あり |
植物性クリーム | 植物性脂肪 | あり |
コンパウンドクリーム | 乳脂肪(動物性脂肪)+植物性脂肪 | あり |
どのクリームを選ぶかは、何を重視するかによります。
例えば、
- 添加物が入っていないクリームが欲しい場合は「生クリーム」
- 濃厚なミルク風味でコクが欲しい場合は「生クリーム」や「生クリーム+添加物」
- 軽くあっさりした風味が欲しい場合は「植物性クリーム」や「コンパウンドクリーム」
- 安価なクリームが欲しい場合は「植物性クリーム」
といったように、目的に合わせて選ぶと良いでしょう。
なお商品や使用方法などによっては、本記事で説明したクリームの特徴(メリットやデメリット)と一致しない場合もあるので、クリーム購入前には必ず商品の情報などをチェックしておきましょう。
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