この記事では、
- 小豆のメリット・デメリット
- 小豆に含まれている水溶性の成分
- 「つぶあん」と「こしあん」の栄養
について説明します。
小豆のメリット・デメリット
小豆のメリット
小豆(あずき)は、食物繊維・ビタミンB1・カリウム・ポリフェノールなどを多く含む、栄養価が高い食品です。
小豆を摂取するメリットとしては、豊富な栄養素によって様々な健康効果が得られることが挙げられます。
表1に、小豆を摂取することで期待される主な健康効果と、その効果に関係すると考えられる小豆に含まれる栄養成分について示します。
表1 小豆の健康効果と関係すると考えられる栄養成分
小豆の健康効果 | 栄養成分 |
ダイエット効果 | 食物繊維、ビタミンB1、カリウム、ポリフェノール |
生活習慣病の予防・改善 | 食物繊維、カリウム、ポリフェノール |
便秘の改善 | 食物繊維 |
むくみ・高血圧の予防 | カリウム |
疲労防止、二日酔いの解消 | ビタミンB1 |
美肌効果、血流の改善 | ポリフェノール |
小豆には他にも、ビタミンB2やB6・カルシウムや鉄分などの栄養も多く含まれており、様々な健康効果が期待できます。
小豆のデメリット
健康を害する可能性
小豆には、上述したような様々な健康効果が期待できます。
しかし、過剰摂取や個人の体質などによっては健康を害する原因となり、デメリットとなってしまう可能性があります。
表2に、小豆を過剰摂取することなどで引き起こされることがある症状・その原因と考えられる成分・特に注意が必要な人について示します。
表2 小豆によって引き起こされることがある症状・原因成分・注意が必要な人
症状 | 原因成分 | このような人は要注意 |
不整脈、手足のしびれ | カリウム | 腎臓の機能が低下している人 |
便秘、便秘の悪化 | 食物繊維、サポニン | 腸の動きが弱っている人 |
腹痛、下痢、慢性炎症 | レクチン、サポニン | 胃腸が弱い人 |
食中毒(腹痛、下痢、嘔吐など) | レクチン | 小豆を十分に加熱しない人 |
他にも、小豆には農薬や放射能などのリスクもあります。
小豆の1日の摂取量目安は、乾燥小豆なら30g、煮小豆なら60g程度と考えられています。過剰摂取はせず、体に不調が現れたら摂取を控えるようにしましょう。
調理に時間がかかる
小豆は十分に加熱してから食べないと食中毒になり、下痢や嘔吐などの症状が現れることがあります。これは小豆に含まれるレクチンが原因です。安全に小豆を食べるためには、十分に加熱して、レクチンを不活性化させる必要があります。
また、小豆には、老化を促進させる・発がんリスクを高めるなどの健康を害する「酵素抑制物質」が含まれています。この酵素抑制物質を取り除く方法としては、諸説ありますが、小豆の浸水・茹でこぼし(渋切り)などが挙げられます。
このように、小豆を食べるためには、浸水・加熱・茹でこぼしなどをする必要があり、調理に時間がかかります。
なお、
- 酵素抑制物質は加熱によって破壊されるため浸水はしなくてよい
- 小豆の茹で汁を捨てる「茹でこぼし」を行うと、茹で汁に溶け出した栄養も捨ててしまう
などの意見もありますので、人によって調理方法は様々です。
また、小豆には以下のような特徴があり、調理方法によっては失敗したり手間がかかったりします。
小豆の特徴
- 小豆を冷たい水に浸けたり、小豆を煮る時の温度が低かったりすると、小豆がやわらかくならないことがある
- 小豆は吸水に時間がかかるため、浸水させる場合は、24時間程浸けないと煮えむらの原因となる
- 小豆を浸水させるとはやく煮えるようになるが、皮が破れやすくなる
- 小豆を煮る時間は、だいたい1~2時間程度 など
水溶性の成分
小豆には、水に溶ける水溶性の成分である、ビタミンB1・カリウム・ポリフェノールなどの栄養素が含まれています。これらの成分は、小豆の煮汁を捨てる手順などで、ある程度捨てられてしまいます。
そこで、これらの栄養も有効活用するために、小豆の煮汁(小豆水や小豆茶と呼ばれています)を飲んだり、赤飯などのように小豆を煮汁ごと調理したりする方法があります。
ただし小豆の煮汁には、苦みやえぐみ成分が含まれていて摂取しにくい・有害成分が含まれている、などの意見もあります。
「つぶあん」・「こしあん」の栄養
食物繊維やポリフェノールは小豆の皮に多く含まれています。
そのため、皮を取り除いた「こしあん」よりも、皮まで一緒に食べることができる「つぶあん」の方が多くの栄養を摂ることができそうです。
ただ、皮より実の方に多く含まれている鉄分などの栄養は、皮を取り除いている分「つぶあん」よりも「こしあん」の方に多く含まれます。
また一般的に「あんこ」をつくる際は、苦みやえぐみ成分を取り除くための「茹でこぼし」などの手順によって、ポリフェノールなどの抗酸化成分もある程度捨てられてしまいます。しかし小豆に砂糖を加えて加熱してつくられる「あんこ」には、小豆のアミノ酸と砂糖が結びついてできる、抗酸化作用をもつ成分「メラノイジン」が含まれます。
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