フッ素は虫歯を予防するための成分(薬用成分)として、多くの歯磨き粉に含まれています。
今回は、一般的に販売されている「フッ素配合歯磨き粉」のメリットについて紹介します。
※ この記事では、歯磨き粉に含まれる「フッ化物」「フッ素化合物」「フッ化物イオン」などのことをまとめて『フッ素』と表現しています。また、「歯磨剤」のことを『歯磨き粉』と表現しています。
※ 記事の内容には誤りがある可能性があります。詳しくは歯の専門家等にご確認ください。
フッ素配合歯磨き粉とは?
フッ素配合歯磨き粉とは、薬用成分として
- モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)
- フッ化ナトリウム(NaF)
- フッ化第一スズ(SnF2)
といったフッ化物(フッ素)が一定の濃度で配合された、「医薬部外品」に分類される歯磨き粉のことです。
ちなみに、歯磨き粉に使われるフッ素は『無機フッ素化合物』であり、人体や環境に対して有害であると言われている『有機フッ素化合物』のPFAS(ピーファス)とは違う物質です。
フッ素配合歯磨き粉のメリット
フッ素配合歯磨き粉には、以下のようなメリットがあります。
- 虫歯を予防する効果がある
- 歯周病を予防する効果がある
- 手軽に使用できる
虫歯を予防する効果がある
虫歯とは、虫歯菌がつくる酸によって、歯が溶かされてしまう病気です。
フッ素には
- 歯(初期の虫歯)を修復する
- 虫歯菌が酸をつくるのを抑制する
- 酸に溶けにくい歯に強化する
といった働きがあるため、フッ素が配合された歯磨き粉には、虫歯を予防する効果があります。
フッ素の濃度と虫歯予防効果
歯磨き粉に含まれるフッ素の濃度が高くなると、虫歯を予防する効果も高くなると考えられています。
日本では2017年3月に、歯磨き粉のフッ素濃度の上限が「1000ppm(0.1%)」から「1500ppm(0.15%)」に引き上げられました。
1000ppmのフッ素配合歯磨き粉よりも、1500ppmの高濃度フッ素配合歯磨き粉の方が、虫歯予防効果が 6% 高くなるそうです。
歯磨き粉を一気に大量に飲み込むなどの誤った使い方さえしなければ、基本的に6歳以上であれば、1500ppmのフッ素配合歯磨き粉が推奨されています。
なお、上限の1500ppmをオーバーしないように、日本では一般的に1450ppmのフッ素配合歯磨き粉が「高濃度フッ素配合歯磨き粉」として販売されています。
!注意! フッ素のリスク
フッ素配合歯磨き粉は、年齢・フッ素濃度・使用量などによっては、歯のフッ素症(歯に白い斑点などができる症状)などのリスクがあります!
そのため、フッ素配合の歯磨き粉を購入する際は、使用年齢・フッ素濃度・1回の使用量などをよく確認したり、歯科医に相談したりするのがオススメです。
特に6歳未満の子どもは歯のフッ素症の発現リスクが高いので、1450ppmの高濃度フッ素配合歯磨き粉は使用できませんし、誤って飲み込んだりしないように高濃度フッ素配合歯磨き粉の保管場所にも気をつける必要があります。
一方、大人の場合は歯磨き粉を誤って飲み込んだとしても、通常使用量であれば基本的には副作用のリスクはありません。
【単位】ppmって?
歯磨き粉に含まれるフッ素濃度は、「ppm」や「ppmF」で表記されます。
「ppm(ピーピーエム)」は「%(パーセント)」と同じく濃度や割合を示す単位で、「ppmF」の「F」はフッ素を表しています。
「%(ppc)」が『100分の1』(1/102)であるのに対し、「ppm」は『100万分の1』(1/106)を表す単位です。
ちなみに、ppcの「c」はcent(100)を、ppmの「m」はmillion(100万=1,000,000)を意味します。
1 ppm = 0.0001 %、1000 ppm=0.1 %です。
1450 ppm = 0.145 % なので、1450ppmFの高濃度フッ素配合歯磨き粉1g中には、フッ素が1.45mg(0.00145g)入っているということになります。
歯周病を予防する効果がある
フッ素は歯周病の原因菌の活動や増殖を抑えるとも言われているので、フッ素配合の歯磨き粉は虫歯の予防だけでなく、歯周病の予防にも効果があるとも考えられています。
しかし、歯周病予防に有効な薬用成分は他にも複数あるので、虫歯よりも歯周病の方が気になる方は歯周病予防用の歯磨き粉を選んだり使い分けたりすると良いと思います。
なお、歯周病などによって歯茎が下がった部分は虫歯になりやすいのですが、フッ素配合歯磨き粉は歯の根元の虫歯にも予防効果が認められています。歯周病によってできやすくなる虫歯を予防するために、フッ素配合の歯磨き粉はオススメだと思います。
手軽に使用できる
フッ素で虫歯を予防したり初期虫歯を治療したりする方法は、フッ素入りの歯磨き粉を使う他にも、歯磨き後にフッ素洗口液(マウスウォッシュ)を使用する・歯科医院で行うフッ素塗布などの方法があります。
フッ素配合歯磨き粉は、歯磨き後のブクブクうがいなどの作業が省略でき、歯科医院に行く手間も無いので、手軽に使用できるというメリットがあります。
ただし、虫歯予防効果はそれぞれ異なるので、自分に合った方法を選んだり併用したりするのが良いと考えられます。
ちなみに、フッ素配合歯磨き粉の虫歯予防効果は、一般的に20~30%と言われています。
フッ素配合歯磨き粉を使っていても、食習慣やブラッシング方法などが原因で虫歯になることがあります。
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