はっきり見えて・疲れない・自分に似合うメガネを選ぶためには、適したフレームとレンズを選ぶことはもちろん、フィッティングやアフターケアなどの様々な要素が重要になります。
この記事では、メガネ選びの際に重要な要素となる「瞳孔間距離(PD)」と「フレームPD」について解説していきます。
■ メガネのフィッティングについては、以下の記事で解説しています。
瞳孔間距離(PD)とは
瞳孔間距離とは、自分の左目と右目の瞳孔間の距離のことです。より具体的には、前を見た時の、左右の瞳孔(黒目)の中心の間の直線距離のことです。単位は「mm」で表記されることが多いです。
瞳孔間距離は英語で「Pupillary Distance」なので、よく「PD」や「P.D.」と表記されます。
日本人の瞳孔間距離(PD)は、男性の場合は60~70mmが、女性の場合は60~64mmが一般的な数値です。平均値は、男性が約64mm、女性が約61mmです。
瞳孔間距離(PD)は、左目 (L)と右目 (R)のそれぞれで書かれていることもあります。その場合は、顔の中心線から左右の瞳孔の中心までの距離を表しています。
フレームPDとは
瞳孔間距離(PD)とは別に、「フレームPD」という用語があります。
メガネの「フレームPD」とは、メガネの左右のレンズ(又はリム。リムとは、メガネのレンズを囲んでいる部分のこと。)の中心同士の距離のことです。
フレームPDも瞳孔間距離(PD)と同様に、単位は「mm」で表記されることが多いです。
視力矯正用のメガネのレンズにおいて、一番歪みの少ない、見やすい部分は「中心」です。
そのため瞳孔間距離(PD)とフレームPDの数値が近いほど、瞳孔の中心とレンズの中心が近い位置になり、見えやすいメガネになります。
メガネのフレームサイズとフレームPDの計算方法
メガネのフレームの内側には「47□20-135」などのフレームサイズの情報が書かれており、フレームPDはこの情報から計算できます。
メガネのフレームサイズ
メガネのフレームの内側に記載されている「47□20-135」などのフレームサイズの数字は左から順番に、
- 片方のレンズの横幅
- ブリッジの横幅(ブリッジとは、左右のレンズをつないでいる鼻の部分のこと)
- テンプルの長さ(テンプルとは、左右のレンズの外側にある、メガネを支える「つる」の部分。メガネの横の長い部分のこと)
をmm単位で表しています。
「47□20-135」のフレームサイズのメガネの場合は、以下のようになります。
- 片方のレンズの横幅:47mm
- ブリッジの横幅(レンズとレンズの間の鼻幅):20mm
- テンプルの全長:135mm
現在持っているメガネと同じサイズのメガネが欲しい場合は、このフレームサイズの情報が参考になります。
フレームPDの計算方法
メガネのフレームPDは、左右のレンズの中心の間の距離なので、
「片方のレンズの横幅の半分の長さ+ブリッジの横幅+片方のレンズの横幅の半分の長さ」
で求めることができます。
上の式をもっと簡単にすると、以下のようになります。
例えば、「47□20-135」のフレームサイズのメガネであれば、以下の計算方法で求めることができます。
フレームPD = 片方のレンズの横幅 + ブリッジの横幅 = 47 mm+ 20 mm = 67 mm
フレームPD が67mmとなるこのメガネは一般的に、瞳孔間距離(PD)が67mmの人に最適と言えます。
瞳孔間距離(PD)とフレームPDがメガネ選びに重要な理由
メガネを選ぶ際は、瞳孔間距離(PD)とフレームPDが重要になります。
理由としては、自分の瞳孔間距離(PD)と大きくずれたフレームPDのメガネを選んでしまうと、以下のような不具合が生じる可能性があるからです。
- 似合わない
- 見えにくい
- 目が疲れる
- 眼精疲労
- 斜位
- 頭痛 など
瞳孔間距離(PD)とフレームPDが一致したメガネだと、レンズの横幅に対して自分の瞳孔が中央に来るので似合いやすくなるだけでなく、見えやすくなるのです。
瞳孔間距離(PD)とフレームPDのズレの許容範囲
瞳孔間距離(PD)とフレームPDのズレの許容範囲は、人によって異なります。
- PDとフレームPDの誤差が左右それぞれで1mm以内(PD-2mm ≦フレームPD ≦ PD+2mm)なら似合う
- PDが{(フレームPD-4mm)~フレームPD}の範囲内であれば違和感がない
など色々な意見がありますが、レンズの度数の強い人であれば瞳孔間距離(PD)とフレームPDが1mm ズレただけでも見えづらくなってしまうことがあります。
度数が強いレンズは厚くなってズレが生じやすくなるので、PDを正確に測定し、PDに近い値のフレームPDのメガネを選ぶ必要があります。
【PD < フレームPD】メガネが大きすぎる場合
メガネが大きすぎて、フレームPDよりも瞳孔間距離(PD)が小さくなる場合は、メガネレンズの中心に対して瞳孔の位置が内側(鼻側)になります。
メガネフレームは、瞳孔の中心がレンズの中心にくる(PD = フレームPD)、もしくは瞳孔の中心がレンズのやや内側にくる(PD < フレームPD)ぐらいが適正と言われています。
ただし瞳孔(黒目)がレンズの中心より大きく内側(鼻側)にきてしまうと、耳側が長く見え、寄り目に見えてしまう場合があります。
【PD > フレームPD】メガネが小さすぎる場合
メガネが小さすぎて、フレームPDよりも瞳孔間距離(PD)が大きくなる場合は、メガネレンズの中心に対して瞳孔の位置が外側(耳側)になります。
こうなると、鼻側が長く見え、目が離れたように見えてしまいます。
この「PD > フレームPD」の場合、見た目に違和感が出やすくなり、顔が大きく見えてしまうこともあります。
瞳孔間距離(PD)の測定方法
上述のように、目に負担がかからないメガネや似合うメガネを作るためには、瞳孔(黒目)の中心とレンズの中心がズレないように、瞳孔間距離(PD)を正確に測定する必要があります。
自分の瞳孔間距離(PD)はメガネ店で測定してもらえますが、お店によっては、正確に測定できる方法で測ってくれない場合もあります。
例えば気球の絵などを見る「オートレフラクトメーター」という簡易検査器だけで瞳孔間距離(PD)の測定を完了させる場合や、メガネの使用距離を考慮せずに瞳孔間距離(PD)を測定する場合は注意が必要です。
オートレフラクトメーターとは別に「PDメーター」を使ったり、メガネの使用距離にあわせて計測したりすることで、正確な瞳孔間距離(PD)を測定することができます。
瞳孔間距離(PD)とメガネの使用距離
目は、近くを見るほど寄り目になる性質があります。
つまり、近くを見ると、遠くを見た時と比較して瞳孔間距離(PD)が短くなります。
メガネ使用時に瞳孔の中心とレンズの中心を合わせるためには、メガネの使用距離における瞳孔間距離(PD)が必要になります。
手元を見るためのメガネを作る時は、遠くを見るためのメガネよりも瞳孔間距離(PD)が数mmほど短くなります。
自分で瞳孔間距離(PD)を測る方法
簡易的に自分で瞳孔間距離(PD)を測ることもできます。
用意するものは、鏡と定規だけです。
自分で瞳孔間距離(PD)を測る方法は、顔にできるだけ定規を近づけて、両目の瞳孔(黒目)の中央の距離を鏡で確認するだけです。
なお、鏡に近づきすぎると寄り目になるので、実際の瞳孔間距離(PD)よりも短くなってしまう場合があります。
片目だけを開いて交互に定規の目盛りを読み取ることで、瞳孔(黒目)が動くのを防止するという方法もあります。
瞳孔間距離(PD)の測定結果
私はこれまで、遠くを見る時の視力矯正用のメガネを作るために、眼科やメガネ店で瞳孔間距離(PD)を計測してもらったことがあります。
私の過去の瞳孔間距離(PD)の測定結果を時系列順に並べると、以下のようになります。
63mm(眼科で測定)→64mm(メガネ店で測定)→61.0mm(メガネ店で測定)
ちなみに、自分で瞳孔間距離(PD)を測ってみたところ、62~64mmぐらいになりました。
最近行った安めのメガネ店では瞳孔間距離(PD)が61.0mmとされましたが、これはオートレフラクトメーターだけの測定結果をそのまま使った正しくない数値だと思われます。
まとめ
メガネを選ぶ際には、「瞳孔間距離(PD)」と「フレームPD」が重要な要素となります。
正確に測定した瞳孔間距離(PD)に近い値のフレームPDのメガネを選ぶことで、瞳孔の中心とメガネレンズの中心が近くなり、よく見え・よく似合うメガネに仕上がる可能性が高くなります。
なお、瞳孔間距離(PD)とフレームPDが一致していても、フレームの位置が適切でないなどで見えにくくなる場合があります。
そのような時は、レンズの高さ・角度・距離などを微調整する「フィッティング」などをしてもらうことで解決できることがあります(フィッティングについては、以下の【関連記事】で解説しています)。
なお自分に合うメガネを選ぶためには、「瞳孔間距離(PD)」と「フレームPD」の他にも、レンズの度数や顔の形なども考慮する必要があります。
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